シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

『おう、それよか…紫茉に代わるわ。紫茉、お前の番号朱貴に発信も受信も拒否設定されていて解除出来ない超ローカル女だから、俺がお前にかけた方が話早くてさ』


そして紫茉ちゃんの声がする。


「紫茉ちゃん、大丈夫だった!!? 先刻ありがとう!!!」


あたしはその場でおいおい泣いてしまった。


『芹霞こそ大丈夫だったか!!? 悪かったな、大して協力出来ないまま、追い出すコトになってしまって。これからはお前に協力するからな。あたし達を頼れよ? あたし達はお前達の味方だからな?』


「紫茉ちゃあああん!!! 嬉しい~」


『ところで芹霞、お前…"CARCOSA(カルコサ)"っていう会員制のあるブログを知っているか?』


"CARCOSA(カルコサ)"?


「ううん、知らない。玲くんや由香ちゃんなら知っているかもしれないけど、そのブログがどうしたの?」


『何かさ、死んだ黄幡会元教祖の黄幡一縷のもので、そこでよく相談者の占い結果を載せたりしているらしいが、彼女が死んでからは閉鎖されていたんだがな…そのブログが更新されているという噂なんだ』


――会員制の彼女のブログが、今も更新され続けているってこと。


確か合コンでもそんなこと聞いたけど…ああ、まだ玲くんに話してないや!!!


『裏ルート経由じゃないと行き着かないらしい。今、たまたま別ルートで情報があって、翠とそのページに行き着いたんだが、やはり今日…いや、昨日付で更新されているんだ。表示されている占星術(ホロスコープ)の、12宮内の天体配列から生まれた日時を推測したら、8月2日14時東京生まれの女子のものなんだ』

「な、何でそんなこと判るの?」


『ん。一応…周涅からそういう"星"に関する占いとかの知識は埋め込まれているからな。天文歴と計算機があれば、あたしも出来る』


おお、紫茉ちゃんも占い師出来る!!!


『占星術(ホロスコープ)は、力など関係なく…読み取れる技術さえあれば誰にでも出来るものだ。生まれた日時と占いたい時間…経過時における惑星の位置さえ、12宮に記載できれば、あとはマニュアル通り読み取ればいい』


さらりと言うけれど…それは簡単ではないんじゃないだろうか。

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