シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
朱貴と蒼生ちゃんは…やはり知り合いなんだろうか。
そして蒼生ちゃんは、何であたし達を桜華に来させたかったのだろうか。
そんなことを思っていた時、突如横で会話を聞いていた煌が、片手を上げて会話を制した。
剣呑に細められる褐色の瞳。
警戒漂うその顔は、敵を目の前にした煌の顔。
「ごめん、紫茉ちゃん。一度切らせて」
あたしは通話終了ボタンを押して、息を潜める。
「外…だな」
煌の顔が、窓の外に向けられた。
窓の外は中庭のはずだけれど…。
それじゃなくても丑三つ時。
しかも紫茉ちゃんから、猟奇事件のこと聞いたばかり。
「俺達以外の…
誰か――居る」
それは人間か、魔物なのか。
褐色の目は、益々細くなり…顔には険阻な翳りに覆われる。
窓の奥の暗闇。
煌の目は何を捉えようとしているのだろうか。
「女――?」
知らない、見えない、判らない!!!
だけど煌の目は、確かに"何か"を確実に捉えたようで。