シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
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ドアの鍵なんて、あってないようなものだ。


紫堂の力を使えばすぐに開く…と思ったが、櫂は原始的に足で蹴破った。


余程氷皇が嫌いらしい。



青い部屋の中は整然としている。



「パソコン、パソコン…」


皆で機械類を探してみるが、それらしきものは見当たらない。


戸棚や机の中、イロイロ探索したが見つからない。



「だけどさ~、氷皇がパソコンしている姿なんて、想像出来ないよな~」


確かにそうだ。


あの男、自分で使いこなすくらいなら、人を扱き使って命令しそうだ。



「ねえ……」



机に潜った由香ちゃんが、溜息をついた。



そして何かを机の裏側から引き剥がした。


『えへ☆

見つかっちゃった~(〃∇〃)

いや~ん(/ω\) 』


そんな文字と顔文字と共に、大きな矢印。


そしてその下に、


『何もないからね~

Σ(゚д゚;)』




明らかに、胡散臭い。




「帰りたいな」


櫂が珍しくぼやいた。

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