シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「まだプログラム読み込んでいる。何だろう、膨大な情報を表示させようとしているね。この感じだと…パスワード解除したのと連動し、徹底的に暗号化されて隠匿されていた情報が…出てくる」
「お前…コード変換出来るのか?」
「パスワード解除した途端、ね。この部屋はやはり特殊だ。パソコンの動きが落ち着きさえすれば、何とかコード変換…或いは外部アクセスが可能になるかもしれない。少なくとも、情報処理室にいた時よりは、ましだ。この部屋の電脳世界の…0と1は、落ち着いている」
「不思議だな。電脳世界も1つに繋がっているんだろう?」
「基本はね。だけど…電気系統別に区画があって、東京でいうと区みたいなものさ。電脳世界に入る時には、その区のルールに従うのが基本だ」
そう笑った。
「あ、終わったようだね、動きが止まった」
そして。
画面には、細やかな英数字の羅列が上から下へとスクロール移動を始めた。
人間の言語ではない。
殆どが0と1で構成されたものは、玲と…遠坂も多少は判るらしい。
「これは…桜華の学園長の…不正?」
「え?」
あまりに意外な情報であったから、俺は訝った目を玲に向けた。
玲は食い入るように画面を見ている。
「強姦…うわ、何だよこれ。凄い…ロリコンなんだ、桜華の学生喰い散らしてるよ。これ…上岐物産社長の力で揉み消してきたって言う証拠じゃないか。うわ、横領も…裏帳簿の記載…凄い詳細な…」
遠坂も驚いた声を出した。
「氷皇は、一体何をさせたいんだ? こんなもの俺達に見せたって。まさか糾弾しろとか、制裁を加えろっていうものでもないだろう」
玲の顔は真剣だ。