シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
芹霞なら。
同じ家で8年間、一緒に過ごしてきた…緋狭さんの妹なら。
きっと煌は持ち直すと思ったから。
あんな状態の煌は、芹霞をどうこうしたいなんていう気力はないように思えたから。
むしろ、そうなっていたとしたら、煌に元気が戻ったと言うことで、俺にとっては複雑な心境ながらも…煌の笑顔が戻ったということが嬉しく感じるだろう。
だから、2人にさせたんだ。
煌が煌である為に。
その為には、芹霞が絶対的に必要だったから。
「ねえ…煌が何か指差しているね、中庭の奥」
俺達はそちらを見つめた。
「誰かいるね」
そして俺達は認めたんだ。
腰まである黒い髪を靡かせた…桜華の制服を着た女の存在を。
「櫂、嫌な予感がする。行くぞ!!!」
そして玲は、遠坂を肩に担ぎながら、窓から飛び降りた。
真夜中、遠坂の悲鳴も響き渡る。
そりゃあそうだろう。
ここは3階だ。
俺は苦笑しながら、窓から飛び降りた。