シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
本当は、あいつ…芹霞の傍にいたかったはずだ。
あいつは顔に出さずにいるけれど、孤立無援の状態に相当参っている。
だからこそ、芹霞に傍にいて貰いたいって思っているはずなのに。
あいつ…俺に芹霞を寄越しちまうもんな。
絶対反対の玲を押しのけ、俺と芹霞を2人きりにさせちまうもんな。
俺が芹霞に盛ってたら、お前どうしたよ?
お前…玲並みに嫉妬深くて独占欲強いのにさ。
12年も一途なのにさ。
それでも――
お前のことだ。
元気になって良かったなって、ぽんと俺の肩叩いて笑うんだろう。
お前そういう奴だ。
だから皆、お前を慕っている。
あんな久涅なんて、クソ食らえだ。
誰があんな下卑た笑いをする男に従うよ。
俺達はお前に命賭けるからな?
「あそこだ――!!!」
俺は視界にはっきり捉えた一点を、芹霞に指差した。
芹霞を連れて駆け寄りながら、ピアスを偃月刀に顕現する。
俺の本能は、"危険なもの"と判断した。
今――
俺達の目の前で、下にいる女に馬乗りになって、首を絞めている…黒髪お下げの桜華の女を。
雲間から…月が現われ、視界はより明確になる。
「ねえ煌!!!
あのお下げの人…
上岐妙、エディターだよ、煌!!!」
芹霞が声を震わせた。