シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「上岐妙…いや、本人の訴え通り…黄幡一縷と呼ぶべきか」
そう櫂が言った時、突然女の動きがぴたりと止まり…
まるで怖いモノでも見たかの様に目を見開いて、
「うぐあああああああああ」
突如…櫂の首を絞めようと襲いかかってきた。
だが俺の敵でもねえ。
櫂に触れる前に、俺はその腕を捻り上げた。
視覚的に、反対なら判る。
何でこいつは、そんなに櫂に驚いたんだ?
――…黄幡一縷と呼ぶべきか。
名前?
一縷の名前を呼んだから?
青い光が走った。
「煩い奴に、大人しくして貰おうね。お前がいてこんなに元気一杯というのなら、"生ける屍"並に耐久力があるんだろう、体術に」
「ああ。だが屍の目じゃねえけどな。ああ、お前の電気の力は、黄色い蝶にもこいつにも有効なんだな、動かなくなった」
そして言葉を一度切って、俺は訊いた。
「なあ…結局これ、どう結論出すべき? 一縷に取り憑かれた上岐妙が、人殺そうとしていました、多分猟奇事件の犯人でした…ってこと?」
腑に落ちねえ、何かを感じた。
返答がねえってことは、皆も断定出来ねえ…胡散臭さでも感じているんだろう。
「一度、校舎に…第二保健室に戻る」
櫂が言った。
凄く…硬い顔つきで。
お前…何を考えているんだ?