シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
まるで夢であったのかのような、呆気ない幕切れに…私も煌も、釈然としない渋い顔を見合わせた。
「あれは、何だったんだ?」
「だからエイリ…」
私は――
煌の顎を蹴り上げた。
「断末魔の叫びにしては…あれは凶器すぎるな」
もし誰かに襲われた故の悲鳴だったのなら、襲おうとした犯人が今頃屍体になっているだけの破壊力がある。
殺人事件…。
「まさか桜華の猟奇事件でもあるまい。私達が桜華に居るからと、そんな都合良く…」
思わず嗤うと、煌がぽんと手を打って。
「ああそれそれ。たった今"都合良く"未遂が起きたんだ」
そんなことを言い出した。
「上岐妙が猟奇事件の犯人らしい。たった今中庭で女襲っている処を、現行犯で玲がとっ捕まえて、保健室に運んでいる。一度保健室に集まることにしたから、俺はお前を呼びに来たんだ」
「ああ!!?」
思わず私は声を上げた。
「てめえ、今何ほざいた!!?
上岐妙と被害者が、桜華に居たっていうのか!!?」
それは衝撃で。
私の脳裏に浮かぶのは、切れた裂岩糸。
「これだけ裂岩糸を張り巡らせている中で、2人もの素人の女が中に入れたというのか!!?」