シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
「あのね…玲くんや由香ちゃん…"CARCOSA(カルコサ)"っていうブログ知ってる?」


突然芹霞さんが言い出して。


玲様と遠坂由香は顔を見合わせ、玲様が答えた。



「それは死んだイチルのブログ? 聞いたことはあるけど…死んでからは閉鎖されたはずだよね」


「らしいんだけれど、実は閉鎖されずに、未だ更新されているんだって。実はさっき紫茉ちゃんから電話あって、次に紫茉ちゃんの友達の後輩が狙われるかも知れないって言われて…」


「七瀬が? 何でそこまで限定できる?」


櫂様が目を細めた。


芹霞さんによれば、被害者は…生前のイチルの会員制ブログに出ていた、占い結果を持つ女らしい。


そのブログは、イチルが死んで閉鎖された筈だが、その実、実際今日まで更新続けられてきたようだ。


そして七瀬紫茉が別ルートでそのブログに行き着き、後輩だという女の占い結果だと気付いたらしい。


「もし猟奇事件が上岐妙が引き起こしたという結論になったら、その点でひっかかってしまうな。


じゃあ誰がイチルのブログを更新し、殺人予告をしているのか…と。

実行犯が上岐妙だとすれば、どのような手段でそれを教唆し…何故、"黒髪"、"お下げ"、"眼鏡"の桜華の女生徒なのか」


玲様が続けた。


「上岐妙に本当にイチルが取り憑いているとすれば…そのブログは、上岐妙を通してのイチルの更新可能性は出てくるね。

すると、何故ネット告知をしたのか。仮に教唆主がイチルで、実行犯を上岐妙とするのなら、その告知は伝達手段。

だけど腑に落ちないね。同じ肉体にいるのに、何故別の媒介が必要なのか。それにこれでは、上岐妙は心神喪失時に無理矢理殺人させられた…ではなく、実行時には故意的な殺人意志があったということになってしまう。

あくまで、彼女が"無理矢理"による不安を訴え抜くのであれば、上岐妙はブログにノータッチであり、実行時にはイチルの意識さえあればいい。

だとすれば、誰が何の為に、誰に向けて、殺人予告を更新しているということになる? 一体誰が、殺人を犯すことによってメリットがある?」


"占い結果"と、"黒髪"、"お下げ"、"眼鏡"


イチル以外の意志があるというのなら、なぜイチルの影を出そうとするのか。

< 674 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop