シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
何だろうね、僕はこの子に本当に関わり合いたくないんだ。
だけどもしも。
万が一にでも。
この子の"安心"を引き出せないのなら。
――あははははは~
僕は…どんな手段をもってしても、彼女を丸め込まないといけない。
――王子様。
それが僕だけにしか向けられていないというのなら。
それは――
僕だけが持ち得る、最後の切り札。
僕は――
王子様になるしかない。
言葉にしろ、身体にしろ。
僕は自分に偽って、彼女の望み通りに…優しく抱きしめないといけない。
――ようやく元に戻ったああああ!!!
こんなに上手くいかないものか、恋愛って。
こんなに辛いものか、恋愛って。
僕は自嘲気な笑いながら、彼女を櫂の元に連れた。
「お前は…上岐妙か?」
櫂の怜悧な瞳が向けられた。
確かに素人に、この目はきつい。
上岐妙は、僕にぎゅっと抱きついた。
思わず弾きたくなる僕は…くっと唇を噛みしめた。
万が一のことを思って。