シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
僕は幽霊のキモチなんて判らないけれど、生前の幼馴染の顔って、忘れられるモノなんだろうか。

その疑問をもったのは、櫂も同じだったみたいで。


ああ、きっと櫂は。


僕が必要以上に関わり合いたくないという心を判って、進行役を務めてくれているのだろう。


僕より先に、櫂は訊いた。


「どうしてそう思う?」


「憎悪しかないから」



即答した上岐妙は、そして櫂を見た。


ゆっくりと…まるで炎が揺らめくように。



「私を…疑ってますね。妄想狂だと」



語気のその強さは…異様だった。




やはり――


僕の中の何かがざわつくんだ。



関わり合うなと。


危険だと。



「証拠を…見せましょうか」



上岐妙が、挑発的に言った。


前髪で表情が判らないだけ、言葉に感情の重みを感じる。


「私が一縷しか判らない記憶。

秘密を…教えてあげましょうか?」


その声音は…なんと挑戦的で…高飛車なモノなのか。

本当に…自分の状況が判っているのか?



「私を妄想狂だと思う限り、貴方に未来はないッッ!!!」



何なんだよ、こいつ。



気弱なのか、傲慢なのか。

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