シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「どうかしら? これで一縷に取り憑かれていると信じて頂けたかしら?」
画面を見る限りは、可能性は高い。
4度もの認証を手際よく潜り抜ける様は、付け刃の他人とも考え難い。
だがそれは絶対的ではない。
元々一縷のブログ制作に関わっていた者ならば、それは可能。
一縷と上岐妙が面識がないというのならその可能性が低いだろうが、幼馴染という密な関係であるならば…何らかの形で関わっていてもおかしくない。
それが判らない櫂ではないはずだ。
「……"CARCOSA(カルコサ)"の意味は?」
「王が棲まう場所」
即答だった。
「王とは?」
「黄衣の王」
恐らく――
僕ら全員の頭には、芹霞を襲った黄色い外套男を思い浮かべているはずだ。
そう、黄色い蝶と出現するアレ。
――黄衣の…王、か。
氷皇は…初日。
重症の榊を見ながら…そう言ったんだ。
「――櫂様」
桜がすっと、頭を下げて進み出た。