シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「渋谷で…煌と共に屋上に行った時。
白い制服の女達が数十人。身投げしていました」
確か…屋上から次々と落ちてきた。
芹霞は…その地面の痕を
――"鬼"の形をしているの!!?
そう言っていたな。
僕達には見えなかった形状だった。
「身投げする女達が歌を歌っていたんです」
『岸辺に沿って雲の波の破れ、ふたつなる太陽が湖の彼方に没し、陰翳が長く尾をひくは、カルコサの地』
「カルコサ…」
僕は目を細めた。
「桜…何でお前そんなの覚えてるんだ?」
煌が呆然とした顔で桜に問いかける。
「それくらい覚えておけッッッ!!!」
桜に怒鳴られ、煌は反り返った。
「……ふっ」
鼻で笑ったような…そんな反応を示したのは上岐妙。
何だ?
どうしてここまで…傲慢めく?
否。
嫌に意味ありげなんだ。
まるで訳が判らず事象だけを羅列している僕達を、嘲笑しているかのように。
気弱さがない。
怯えもない。
これが本当に…
猟奇事件の犯人だと、
だから助けてくれと…
そう僕に訴えた同じ女なんだろうか?