シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


櫂は…何かを深く考え込んでいた。


「黄色い…王…イチル…」


そんな呟き。


そして暫く目を瞑り、芹霞をちらりと見た後、視線を上岐妙に戻す。



「一縷の特徴は?」


しかしそんなことを聞いても、それが正解か不正解かなんて…僕達には判断出来ない。


「どんな特徴があった?」


「それは身体的? それとも性格的?」


上岐妙は、含んだ言い方をする。


「両方」


「身体的には…そうね、目が…」


櫂の瞳が細められる。


「妖しい力があったわね。人を惑わす…」


「具体的には?」


「惑わす力に具体的も何も…」


馬鹿にしたような笑いの後、彼女は続ける。


「一縷が見つめれば、大抵は操られる。魔眼、邪眼…なんて言えばいいのかしらね?」


一縷信仰者が多いのは、それによるものだと?


「邪眼って…まさか目が赤いとか?」


1つの可能性を、上岐妙は否定する。


「魔物じゃないわ。少なくとも、そんな色はしていない」


制裁者(アリス)の邪眼とは、また違うものか。


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