シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「王?」
煌が訊いた。
「ああ…。そして彼女もまた、人を惑わす目を持っていたんだ」
一縷の邪眼と同じ…なのか。
櫂は何かを思い出しながら話しているようだけれど…さっぱり思い出せない。
「ただな。相違点が多々ありすぎる。まず…10年前のイチルはいじめられっ子だった。それを芹霞が助けた」
んー。
何かそんなことがあったような…。
だけどあたし、そういうのは誰でも構わず突っ込んでいくしな。
「イチルには…近所の子供から"鬼っ子"と呼ばれていて…確か親戚の家に預けられていたはずだ。イチルの身体には…虐待の痕があったのを覚えているから
、人を惑わすその目のせいで家の内外散々な扱いをされていたはずだ。
イチルの魔眼。それは片目が碧眼だったんだ」
青い瞳。
黄色いワンピース。
赤い唇。
「あああああ!!!」
あたしは声を上げた。
「思い出した!!! イチルちゃん…確かにそんな子いたね!!!」
短期間だったけれどよく遊んだイチルちゃん。
あれ…何で別れたんだっけ?
「それが俺もよく判らないんだ。それだけが思い出せない。ただ…」
櫂が目を細めた。
「犬。犬が…何か記憶にひっかかるんだ」