シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
――――――――――――――――――――――――――――……


気付けば何だかうとうとしていたみたいで…ベッドの上に寝かされていた。


カーテンから漏れる明るさで、明け方にはなったのだろうか。


そろりと部屋を覘くと、由香ちゃんは突っ伏して寝ていて、煌も寝ていた。


玲くんだけがカタカタパソコンを動かしていて、櫂と桜ちゃんがいない。


「…あ、ごめん…煩かった?」


玲くんがあたしに気付いて、慌てた声を出す。


「ううん、ただ起きただけ…。ううっ何か寒いね」


すると玲くんは、微笑みながら…コーヒーを入れてくれた。


例のハワイコナだ。


ずずずと飲むと…温かくておいしい。


玲くんは何も言わなくても、砂糖入りのカフェオレにしてくれるから、紅茶好きのあたしでも、いつもいつもおいしいと思う。


気付けば玲くんと目が合った。


「……?」


何か言いたそうな、寂しげな眼差し。


「どうしたの、玲くん?」


玲くんは儚げな顔を伏せてしまった。


「玲くん?」

近くに行って、その顔を覗き込むと、長い腕が伸びてきて…あたしを彼の膝の上にぽんと載せた。


後ろ向き状態で…後ろから伸びてくる手。


ああ、温かい。


「芹霞……ごめんね…?」


震える声が、耳に届いた。

< 696 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop