シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
近付いてくるのが判った。
あたしは――
目を瞑った。
哀しい哀しい玲くんを
拒むことは出来なかった。
玲くんは…明らかに傷ついている。
何かに叫んでいる。
だから、だからあたしは――
バアアアアンッッ!!!
突然大きな物音がして、驚いたあたし達は身体を離した。
突き刺すような攻撃的な、褐色の瞳。
「寝ていると思って…いちゃつくんじゃねえぞ、玲!!!!」
煌が…アルミ製のゴミ箱を足で蹴り飛ばしていた。
煌は…寝ていなかったのか。
じゃあ…全て聞いていたのか。
険阻な顔。
だけど、だけど…。
「どうして、あんたも傷ついた顔なの、煌?」
そう。
煌も泣き出しそうな顔をしていたから。
玲くんと同じ…傷心の顔。
由香ちゃんが起きて身体を起こしていた。
複雑そうな顔をしている。