シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
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あたしは櫂を探して校舎を走った。
あたしには特別な…超能力なんてものはない。
だから皆の言うような"気"なんて感じ取れない。
きっとそんなものがあれば、すぐに櫂の居場所を察知出来るんだろうけれど…だけどそんなものがない代わりに、あたしは自力で櫂を探し出せるという特技がある。
昔から、櫂を見つけてきた。
何処でどんなことをしていても。
それがあたし達の絆で、それが当然で。
だからどんな櫂の異変でもあたしは気付くことが出来たんだ。
それ故に強まったあたしと櫂の関係。
そして信頼感。
――芹霞ちゃん、大好き。
今は?
今は櫂が何処にいるか見つけられる?
傷ついた顔の玲くんと煌。
あたしの寝ている時に、絶対何かあったんだ。
だけど建物内には誰もいなくて。
櫂は何処にも居なくて。
不安が募る。
――芹霞。
櫂の声が…聞こえる。
それは幻と判っている。
だからこそ意味がある。
無意識領域で櫂を掴め。
櫂が何を思っているか、掴むんだ。
皆があんなに傷ついた顔をして耐えている、その意味を掴むんだ。
――なあ、芹霞。もし俺が…。
ふわりと…櫂の声が聞こえた気がした。
何…?
櫂は何をあたしに訴えようとしているの?
もし櫂が……?
風が頬を掠めた。
あり得ない。
窓が締めきったこの校舎の中で、風など吹くことはない。
風は――櫂の力。
あたしに触れた、櫂の風。
風があたしを呼んでいる。
風があたしを導いている。
風が…感じられる場所に、櫂がいる?
それは何処!!?
風――
屋上!!?
あたしは…屋上に駆け上った。