シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
・俯瞰 櫂Side
櫂Side
****************
「屋上からなら…ここの地形がよく見えるな」
「そうですね」
此処から見下ろした先から、血の臭いを風が運んできた。
――櫂様、凄い瘴気が…。
桜が指した先は…
――ははは、桜。あそこは鈴ヶ森刑場。瘴気の溜まり場だ。仕方が無いさ。
俺の声に、桜は頷いた。
11月の風は冷たく、俺の髪を揺らす。
こういう気分の時は…この冷たさが丁度いい。
――櫂、だけどそれは!!!
俺を抑える…いい温度。
――馬鹿言ってるんじゃねえ!!!
「…どうした桜」
「櫂様…本当になされるんですか?」
固い顔をして聞いてくる。
「何だ、お前は…反対なのか?」
「私は…」
桜は口を噤(つぐ)んだ。
「成功する確率が完璧に100%ではないですから」
そして俯く。
「こればかりは…100%でなければ…」
俺は白ばんできた空を見上げた。
――坊は死ななければなりませぬ。
「そうだな…100%でなければ」
――死なねば、全てが水の泡。
「俺は…生きていないだろう」
――ならばかつての師匠である私から、見事な死を与えましょう。
「だけどそれは、最終手段。それが…唯一俺が持てる手札。だとしたら…最後にはそれに縋るしかない」
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「屋上からなら…ここの地形がよく見えるな」
「そうですね」
此処から見下ろした先から、血の臭いを風が運んできた。
――櫂様、凄い瘴気が…。
桜が指した先は…
――ははは、桜。あそこは鈴ヶ森刑場。瘴気の溜まり場だ。仕方が無いさ。
俺の声に、桜は頷いた。
11月の風は冷たく、俺の髪を揺らす。
こういう気分の時は…この冷たさが丁度いい。
――櫂、だけどそれは!!!
俺を抑える…いい温度。
――馬鹿言ってるんじゃねえ!!!
「…どうした桜」
「櫂様…本当になされるんですか?」
固い顔をして聞いてくる。
「何だ、お前は…反対なのか?」
「私は…」
桜は口を噤(つぐ)んだ。
「成功する確率が完璧に100%ではないですから」
そして俯く。
「こればかりは…100%でなければ…」
俺は白ばんできた空を見上げた。
――坊は死ななければなりませぬ。
「そうだな…100%でなければ」
――死なねば、全てが水の泡。
「俺は…生きていないだろう」
――ならばかつての師匠である私から、見事な死を与えましょう。
「だけどそれは、最終手段。それが…唯一俺が持てる手札。だとしたら…最後にはそれに縋るしかない」