シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

「櫂様。大丈夫です。きっと大丈夫ですから。櫂様を…完璧さが曖昧な…そんな切り札を使わせません!!!」


「ははは、ありがとうな、桜」


俺はそうとしか言えなくて。


切り札。


使いたくなくとも、使わないといけない。


そんな予感が…凄くするんだ。



何だか…屋上から俯瞰する光景が…凄く心に染みいる。


まるでこれが最後とばかりに、心に焼き付いて。


無性に感慨深かった。



その時だ。



芹霞が息を切らして飛び込んできたのは。



「櫂!!!?」


全身汗だらけだ。


「どうした、何かあったか!!?」


思わず俺の声も固くなる。


「なんであんたこんな処にいるのよ!!! 桜ちゃんが居ても…此処で襲われたらどうするのよ!!?」


芹霞がぼかぼかと俺を叩いた。


「あんた、危ない身の上なんだからね!!?」


「ははは。そうだな…1人では…自由に歩けない…そんな情けない身の上だな」


思わず…ぼやいてしまった。


――芹霞ちゃあああん!!!


芹霞を見る度、思う。



紫堂の次期当主は…芹霞の為に得たものだ。


芹霞を幸せにしたいが為のものだ。
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