シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「櫂?」
「俺のポジションは…譲りたくなかった。
どんなことがあっても…死守したかった。
俺だけが、この位置にいたかった」
苦しい。
「……櫂」
苦しい。
俺は微笑んだ。
笑いたくなんて、なかったけれど。
――芹霞ちゃあああん!!
「俺がいなくても…
幸せになれよ、
――…芹霞」
ああ…。
俺だけが、幸せにしたかったんだ。
俺は――!!!
「櫂、あんた何考えてるの!!?!
何で過去形なの!!?」
芹霞が憤った。
「やめてよ、今生の別れみたいなこと!!!
やめてよ、やめてッッッ!!!」
芹霞は耳を塞いで泣きじゃくった。
「あたしは絶対櫂を守る。守るから!!!」
「……最悪な場合の…もしも話だ」
「そんな"もしも"なんていらない!!! あたしが欲しいのは、皆が笑って幸せになれる、そんなもしもの話だけッッッ!!!
そんな…そんなBAD ENDは欲しくないッッ!!!」