シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「目が印象的ですね、眼力があるっていうのか」
「そうだろう? 芸能界からもスカウトされているくらい。だけど親の七光りは嫌だからって…」
「親? センセ芸能人?」
もしそうなら、節穴のあたしは吃驚だ。
「なわけないだろう? 母親。2ヶ月前の東京での暴風被害で死んじゃったけどね」
2ヶ月前。
それはあたしが関わった、あのことなのだろう。
というか、何故に芸能人がこのセンセと結婚?
世の中には不思議なことがあるものだ。
「残念だな、センセいなくなるの。でも仕方ないよね、娘さんに付き添っていてあげないと…。早く戻ってきて下さいね」
「ありがとう、そう言ってくれて。来週中には、この黄幡先生に引き継ぎしてお休み取るつもりだ。その前に僕の裁量で…と思って、土曜日に急遽試験にしちゃってごめんね。だけどぱっと見だけど、2人共…9割はいってたから大丈夫」
「本当ですか!?」
あたしは煌と顔を見合わせて破顔した。
「頑張ってね、応援してるよ」
その時、なにやら意味ありげな言葉が煌に向けられて。
「僕の場合もね、幼馴染だったんだ。ライバルが人気俳優でね。紫堂くん相手は大変かもしれないけど、呪うのだけはやめようね? 人を呪ったら、自分に返ってくるからね?」
「センセ~、俺アンタ好きだ!!」
突然煌がセンセに抱きついた。
煌はいつの間に、このセンセと交流を持っていたんだ?