シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「……僕は、認めない」
玲が呟いた。
「僕は…こんな事態を引き起こす為に…今まで此の立ち位置にいたんじゃない」
唇を噛みしめる玲。握られた拳に力が入っている。
「櫂がどうしても"切り札"を決行するというのなら、決行しないように僕が動く。だったら…」
だから…
「櫂の"未練"を引き出すしか…ないじゃないかッッ!!!」
芹霞を手に入れようと動いたってか、お前?
櫂を"こちら側"に連れる為、わざと煽っているって?
お前…何処まで自分を犠牲にするんだろうな。
俺…どうしていいか判らねえんだ。
何をどう考えていいのか…。
その時、パソコンがピロンと音が鳴って。
パソコンを覗き込んだ遠坂が、気怠げに言った。
「メール…。ああ、とりあえず…了解だって」
――玲、頼みがある。パソコンが繋がる内に…。
「だけど…紫堂も無茶やるよ。普通考えないぞ、こんなことは」
遠坂がぼやく。
「とにかくボク達に出来ることは精一杯やるしかない。それで状況が好転したらよし。しない場合は…」
――約束、して欲しいんだ。
まだ…切り札が発動されると決まったわけではないのなら。
何としてでも、それに行き着く前に…誰もが傷つく前に…打開策を。
「ねえ…ボク思うんだけれどさ。紫堂を先に横須賀に行かせて、ボク達は別働隊で"安心"させればよくないか?」
おお、そうだ。
櫂にゴールで待機させておいて、襲う敵を俺達で何とか凌いでいれば。
俺達は1人じゃないのなら、手分けすれば効率がいい。
「多分…そう簡単には行かないだろうね」
玲は、静かにに言った。