シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「無理があるって玲!!! いない人間を、存在していると周りが認識するには、それ相応の"証拠"が必要だ。騙されたのが1人だったらまだしも、桜華にも信者にも、相応の数の目撃者がいるんだぜ!!? 例えば桜華だったら!!! 出席!!! 登校していた、歩いていた…それは証拠にならねえのかよ!!? それともそれも心理だ、気のせいだで終われるもんなのか!!?」
「そうだね。確かにお前の言う通り…1つ1つ、出席日数など、細かい処から検証と実証しないといけない。結論に至るまでは、そうだと言い切るのは早いのかも知れない」
お、俺の意見が通った…。
凄く、頭が良くなった気分。
「そうだ…早いんだよ、まだ…。だから…突っ走るな…」
目を細めて、遠くを見つめた玲。
多分…櫂に語りかけているんだろう。
「どうするんだい、師匠。パソコンで調べるかい?」
「今…大量にデータ転送しているからね。別動作させて動きを鈍らせたくないな。どんなにスペックいいパソコンったって、拡張したデスクトップの融通性もないからね。今は転送を止めたくないな…。……。……。ああ、そうだ。ここは保健室だ。よし、主に調べて貰おうか。保健教諭ならば、出欠の記録をつけているはずだから」
「来るかな…?」
「来るさ。来るまで使っていいと許可されていたんだから」
やけに玲は自信ありげだったけれど。
まあ…七瀬が豚汁作るとか張り切ってたから、誰かは来るだろうし…連絡はつくだろう。
「なあ、玲。聞きたいんだが」
「ん?」
「それ、何処に転送してんだ?」
今は四面楚歌。
此の場所でしか情報は生きれないというのに。
「櫂の指定場所」
玲はにやりと笑う。