シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「折角協力してくれると言ってるんだから、協力して貰おうじゃないか。こんな技術は…あるとは、正直思えなかったけどね」


何とも意味ありげに玲は笑う。


櫂が玲に何やら話していたのは判っていたけど、俺…"切り札"で頭一杯で、櫂の指示が何なのかよく判らねえ。


協力体制にあるっていうのは…朱貴達だろうか。


今、味方といえる側にいるのは、朱貴達しかいねえし。


七瀬が独自に開いたという一縷のブログ。


"別ルート"で開いたなんて…普通じゃそんな簡単に情報は転がっていねえ。


ならば、多分…情報源は、いつもの如く…朱貴だろう。


朱貴が…もしも玲と同じ属性があれば。

或いはその属性の奴と知り合いならば。


このデータも何か判るかも知れねえし、分析も可能かもしれねえ。


もう少し待てば本人現われるはずだけれど…櫂も焦っていると言うことか。


朱貴は…あいつは一体何者なんだろう。


七瀬も、噂とは"別ルート"でブログを開いたと芹霞に連絡していたし、いつも朱貴が情報源で、小猿諸共俺達を心配してくれているというのなら、"別ルート"と言うのも朱貴からなんだろう。


あいつら何なんだよ、本当。


小猿だって、失敗ばかりの馬鹿丸出しのくせ、それでも俺達を助けられる程の力はあるわけだし。


とことん普通人の空気纏って、非凡すぎる。


推し量れねえ…。


「ねえ師匠…やっぱりボク釈然としないんだ」


遠坂が口を開いた。


「一縷がさ、遠い昔に死んでいたとして。だとしたら、あの先輩は何者なのさ? 紫堂は言ったよね、あれは"一縷"って」


確かにそうだ。


だからややこしいんだ。
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