シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
玲は言った。
「…状況的に。後天的な意識が、突然先天的な意識の上位になることはありえる事象だ。君も判っているはずだよ? まあ…1方が無理矢理押し入った…という形だったけれど。2ヶ月前にね」
2ヶ月前…。
「「藤姫か!!?」」
玲は薄く笑う。
「あくまで可能性の話。幽霊じゃなくても、1つの肉体に故意的に押し入り、"取り憑いた"状態にすることは出来る。
それによって意識がどうなるのかは…僕には判らない。藤姫のように、1つのものが優位になってしまうのか、2つ…多重人格のような形で共存出来るのか。それは千差万別だと思うから」
「何で紫堂は…上岐妙が一縷を殺したのだと言い切れたんだろう」
「そこは…僕もよく判らなかった。昔に起因しているのかなと思ったんだけれど…ね。櫂が昔の記憶を思い出していなかったら、話は更にややこしくなっていたんじゃないかな。何が正しくて何が正しくないのか、僕にさっぱり判断つかない。出来るのは、櫂の出した結論に対して、推測するだけだ」
俺にはその推測すら、推測出来ねえんだけれど。
「何で…こんな奇妙なことに巻き込まれているんだろうね、ボク達。はっきりいって、上岐妙…一縷の事情と紫堂の一件とは…関係ないじゃないか」
「本当にね。氷皇が恨めしいよ。これで必然だなんて、腹黒もいい処だよね。僕達に与(あずか)りしれない問題を持ち出してさ」
「ホント。無関係な七不思議なんて調べさせてさ…」
暫し沈黙が流れ、そして遠坂が口を開いた。
「もしかするとだよ? もしかすると…また、藤姫関係…起きている?"生ける屍"…可能性の話じゃなくさ」
「……。え、でも…妖しげなグッズは見掛けていないし、僕」
「見ようと…していなかったよね、それ処じゃないし。ゾンビ…出てきたわけでもなかったし」
遠坂の言葉に、玲は少しの間を置いて苦笑した。