シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「あの~、僕~、もういいでしょうか~」
何とも…脱力するような物言いの主を辿れば、黄幡とかいう…年齢不詳の新たな数学教師。
「ああ、いいよ。この子は如月煌くんと神崎芹霞さん。君が受け持つクラスになるよ?」
何だろう――この人。
「あ~、よろしく。黄幡です~」
握手を求めるこの教師が――
あたし好きになれない。
「芹霞、どうした?」
好き処か――
「よろしく、黄幡センセ。お手柔らかに」
怖い。
最初は何ともなかったけれど、何だろう。
田端センセが、あたし達の名前を告げたあたりから。
向けられるその視線が怖い。
「じゃあ、帰ります。娘サン、よくなるといいですね」
あたしは煌の袖を引っ張って、震えそうな身体を押さえて足早にその場を後にした。
視線。
まだ向けられている視線。
何?
一体何?