シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
身体が反応したように、強張っていく。
どくん。
また、俺の中の"もやもや"が動き出す。
それは心臓のように脈うって。
「ねえ…どうしてこの時間まで、敵襲がないんだろう」
どくん。
「紫堂の警護団は2時間猶予と言ったよね。姉御まで敵になって…どうして、攻めてこないのだろう」
「氷皇の領域だから…迂闊に手出し出来ねえんだよ」
俺は…そう言ってみた。
不安を消し去るように。
「だけど…その中で、あの女(ヒト)達が事件を起こせたのは何故?」
どくん。
――判らないんです。
「あの犠牲者になった楓ちゃんだって、何で入れたんだろう?」
――先輩に連れられて塾に行って、入塾テストを受けた処までは記憶あるんですが…。
「帰して…本当によかったのか?」
「殺人未遂犯は僕達の手の内だからね。それに…何の情報も出ない気がしたから。完全に…記憶がないみたいだし」
玲は無理矢理笑いながら、深呼吸をして姿勢を正す。
「師匠、変だよね。葉山が…見張りに回っていたんだぞ? 葉山が気付かないってこと、ありえるのかな」
どくん。
「ねえ…ボクさ、凄く悪い予感するんだけれど」
どくん。
「氷皇の領域外で…何か起こってないか?」