シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
そしてあの女の肉体は――
"生き続ける"肉体なのか。
それとも"移動し続ける"意識の、1通過点にしか過ぎないのか。
一縷の肉体だと仮定すれば、"取り憑いた"のはむしろ上岐妙の方で、上岐妙の意識こそが謎めいているということ。
"安心させられればいい"
そう単純に思っていたけれど、謎めいた存在にそれは可能かどうかも判らない。
しかし、やらねばならないのだ。
そんな時――
私は…
眩しい旭光と共に――…
瘴気の膨張を感じ取った。
光と影の力が増大して、私は得も言えぬ寒気を感じた。
外界か!!?
――ぴぎゃああああ!!
思い出したのは、煌と聞いた奇怪な音。
複数の野犬の騒音さえも、奏でられてぴたりと止まったのは…動く気配を見せない敵が何か関与していたとは考えられないか。
だとしたら私は、その気配を間近で感じながらも、危険の種を見逃していたことになる。
どうして…確認しに行かずに、煌と話し込んでいたんだ、私は。
この瘴気の膨大は尋常ではない。
何か…始まるのか?