シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


そしてあの女の肉体は――


"生き続ける"肉体なのか。


それとも"移動し続ける"意識の、1通過点にしか過ぎないのか。


一縷の肉体だと仮定すれば、"取り憑いた"のはむしろ上岐妙の方で、上岐妙の意識こそが謎めいているということ。


"安心させられればいい"


そう単純に思っていたけれど、謎めいた存在にそれは可能かどうかも判らない。


しかし、やらねばならないのだ。



そんな時――


私は…


眩しい旭光と共に――…


瘴気の膨張を感じ取った。


光と影の力が増大して、私は得も言えぬ寒気を感じた。



外界か!!?


――ぴぎゃああああ!!


思い出したのは、煌と聞いた奇怪な音。


複数の野犬の騒音さえも、奏でられてぴたりと止まったのは…動く気配を見せない敵が何か関与していたとは考えられないか。


だとしたら私は、その気配を間近で感じながらも、危険の種を見逃していたことになる。


どうして…確認しに行かずに、煌と話し込んでいたんだ、私は。


この瘴気の膨大は尋常ではない。


何か…始まるのか?

< 738 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop