シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「玲様、これは!!?」
「判らない。此処には僕達全員の結界と、更には氷皇と朱貴の結界が巡らされている。ここが陥落することはないだろうけれど…中庭にまで入り込んできた"奴ら"思えば、油断は禁物だ。まず櫂達を探そう」
「はいッッ!!!」
旭日の眩しい光は、悍(おぞ)しい存在に遮られ、何度も目にしてきた闇の光景が広がる。
血の臭い。
拡がる瘴気。
何故…何故"生ける屍"がこんなに大量発生した!!?
これを…決して校舎の中に入れてはいけない。
私は幾重にも幾重にも糸を巡らす。
外から決して敵を入れない。
生きていようが、死んでいようが。
――お前達に話があるんだ。
私は櫂様を守る!!!
櫂様と芹霞さんは、程なく見つけ出すことが出来た。
「もう…慣れたとはいえ、あの連中が動いたというのは…また藤姫関連なんだろうか」
櫂様は苦笑する。
恐らく…誰もがそう思っている。
そうとしか思えないだろう。
"生ける屍"など…そう簡単に跋扈する代物ではない。
だったら、どういうことだ?
私達はまた、それ関連に巻き込まれていると言うことか?
いつから、巻き込まれていた!!?
「ねえ…桜華から出た方がいいんじゃないの?」
芹霞さんが不安そうに櫂様と玲様を見た。
「ほら、朱貴の符呪で」
妙案に思えた。
しかし玲様が頭を横に振る。
「あの符呪は…無いはずだ」
「え? ――!!?」
訝しげに目を細められた櫂様が、慌てて上着のポケットを確認して、
「――ないッッ!!!」
そう叫んだ。