シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
「あれ…煌と由香ちゃんは?」


「由香ちゃんは…多分保健室に残っている。煌は…見掛けてないね、桜は見た?」


私はすっと頭を下げた。


「あの愚鈍な男、桜が回収しに参ります。櫂様方は…第二保健室へ」


そして私は、煌探索に校舎を回る。


主を置いて、同じ部下を捜すなど…愚の骨頂だ。


何で私はいつも、あの男の回収にまわってばかりいるのだろう。


何で成長がないんだ、あの男!!!


だけど。


不思議と私は、私が煌を見つけねばならないような予感がしていた。


何故だか判らないけれど。


その時、結界の流れがぷつっと途切れた部分を感じて、私は慌てて糸を確かめた。


「――!!! 


糸が切れてるッッ!!!」


私の…裂岩糸が、また引き千切られていた。


先刻までは異常がないということを確認していたはずなのに!!!


こんな短時間で…!!!


これならば、結界が弱まったこの部分から…屍が雪崩れ込んできてしまうじゃないか!!!


慌てて結界を修復する。


誰だ!!?


結界を妨げ、符呪を無効化させたのは。


どうしてまた、私はそれに気付かなかった!!?



「!!!?」



そんな時、橙色を視界に捉えた。


< 742 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop