シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


壁に手をつき、しゃがみ込んで動かない。


「煌!!!」


幾ら呼んでも、動かない。


気付いていないのか!!?


何でこんな時に、暢気にさぼってるんだ!!?


怒りが沸き上がって、その元に駆けた。


「煌ッッ!!! 何ぼさっとしている!!! 結界を強めて、早く櫂様を…」


頭に蹴りを入れようとした私は、動きを止めた。



煌はただぼうっとしていたわけではない。



「…は、うがっ…」



…吐いていたんだ。



あまりに苦しそうな様子で、少しは心配する気にはなったけれど。


保健室でがつがつおにぎりを食べていたのを思い出せば、


「食い過ぎなんだよ、てめえはッッ!!!」


情けない。


本当に情けない!!!



しかし――




「――え…?」




私の全ての動きが止まった。



見たくもない吐瀉物の中で…



「桜…頼む。黙っててくれ…」



何かが蠢(うごめ)いていたから。

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