シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
静寂を切り裂き、現実に強制返還したのは、甲高い女の悲鳴。
「ひいいいいいいっっ!!?
――何だよこれはッッ!!?」
由香ちゃんの…声!!!?
「――玲!!! 早く来いッッ!!!」
切羽詰ったような櫂の大声に、あたし達は慌てて走り、保健室のドアを開けたんだ。
「どうした、櫂…な、なんだこれは!!!?」
部屋の内情を悟るなり、驚愕の声を上げた玲くんが、突如青い光に包まれ…あたし達を飲み込むように光は曲線状に拡がった。
青い光の"檻"の中にあたしも櫂も、由香ちゃんも居て。
玲くんの結界が発動されたんだ。
由香ちゃんは尻餅をついた格好で、蜘蛛のように手足だけ動かしてあたし達の下に移動してきた。
「あわ、あわわわわ。
と、突然…"彼女"が何かぶつぶつ唱えだしたら…口から、口から…」
指差した先には、ソファに居る"彼女"。
大きく広げた口から――
溢れるようにして流れ出ているのは白い何か。
それは液体のようで液体ではない。
大量のご飯粒のようで…
――蠢(うごめ)いている。
もぞもぞと。
何アレ、何アレ!!!?
「蛆(うじ)!!!?」
玲くんが声を上げた。