シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「玲、俺の風では"分裂"してしまう!!! お前の力で焦げ付かせろ!!!」


言い終わらない内に、突き出した玲くんの手から、直線状の青い光が放たれる。


白い蟲みたいなモノが、バチバチと音をたて、青い炎を発しながら焦げ付いていく。


凄い…悪臭が漂い、吐きたくなってくる。



それでも数が多すぎて、玲くんの攻撃を逃れた蟲達は、もぞもぞと這い寄り…そして結界に触れた途端、青い光を放って消滅していった。


「――電子盤!!?」


その時、その様子を間近で見ていた櫂が低い声を出す。


「玲、焦げ付く直前…あの蟲みたいなモノに、電子基盤みたいなものが見えないか?」


「え?」


玲くんは櫂に呼応するように、じっとそれを見つめた。


あたしは…きっと動体視力がないのだろう。

あたしにはどう目を凝らしても、そんなものを見ることは出来ない。


「一瞬青く光る中に、確かに…そんなものが見えるね。

電子基盤…確か前に、他にもあったよな…そんな表現」


「……。お前の力が黄色い蝶に向かう時…と、自警団の持つ万年筆のようなものから放たれた光、か。桜が言ってたな」


「僕の力が…何か関係在るのか?」


「ないとは…いいきれん」


その時、


「櫂様、玲様!!? この瘴気は一体!!!?」


ドアから桜ちゃんと、煌がやってきた。


「煌!!? あんた顔色凄く悪いじゃないの、どうしたの!!?」


あたしが額に手をあてようとしたら、煌は手の甲であたしの手を払った。


「大丈夫。食いすぎだ」


ああ、確かに食べていたものね、紫茉ちゃんのおにぎり。

しかも玲くんにも無理やり…。


そして、"彼女"を見た煌は、更に顔色を無くした。


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