シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「あれは・・・!!!」
皆で由香ちゃんを見る。
「何、ボクが何だい!!?」
あの両先端の窄んだカタチ、あの不透明な乳白色は…間違いなく、由香ちゃんの体内から出たモノと同じで。
「――くっ!!!」
玲くんが、辛そうに顔を顰めた。
「どうしたの、玲くん!!?」
「僕の力を…吸収始めた」
「何だって!!?」
大きく1つになるそれは…青白い光を内包して仄かな光を放ち、形状を更にゆっくりと拡大させる。
むくむくと大きくなっていく。
「まるで…"サナギ"だね」
ぬらぬらと、半透明な色をした…巨大な蚕。サナギ。
玲くんは力の放出をやめた。
やめざるを得なかったんだ。
「紫堂の力は分裂させ、師匠の力は力となるのなら、どうすればいいんだい!!?」
「桜が!!!」
突如前に進み出た桜ちゃんが裂岩糸で、赤子くらいの大きさになったサナギを2つに切断した。
「!!!」
しかしゆっくりとそれは、形状を回復して…2つの別個のモノとなり、ビチビチと両先端を動かして元気な動きを見せた。
悍しい。
気持ち悪くて仕方が無い。
「駄目だ、桜でも分裂する」
目の前では…"彼女"の口から蛆が溢れ続け、
その中で、巨大なサナギ2つが、どんどん大きくなっていく。
今では幼稚園児くらいの大きさだ。
「俺が……」
悲痛な顔をした煌が、偃月刀を構える。
「お前でも無理だ、煌」
玲くんの制止の声を、煌は聞き入れなかった。
「多分、俺なら…大丈夫。俺なら…」
そう思った根拠は判らないけれど。
皆が止めるより前に、煌は飛び出して。
サナギの1つに、真上から偃月刀を突き立てた。