シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
ピシャアアアア。
途端、黄色い粘着液が飛び出して、煌の顔にかかった。
腐臭漂う…汚濁液まみれの顔を、手で拭う煌。
「……」
あたしは――
煌が苦渋を色濃くしているように見えた。
あの醜悪で怪奇な存在を断ち切ることに、心を痛めている。
まるで、自分のことのように。
それが無性に気になって。
「……OK、煌」
玲くんは、ぱんぱんと拍手をした。
「今度は…お前なら…大丈夫らしい」
蝶は玲くん、サナギは煌であれば、その攻撃は有効らしい。
櫂と桜ちゃんは…悔しそうに唇を噛み締めている。
煌は、もう1体のサナギにも偃月刀を突き立てた。
迷うことなく。
何度も何度も。
ざく、ざく、ざく。
無機質な擬音が鳴り響く。
ざく、ざく、ざく。
何か――
煌の様子がおかしい。
まるで螺子が切れた機械のように、その動きを止めず…同時に、煌の顔から表情がなくなっていくように思えて。
キケンダ。
あたしの頭の中に、警鐘が鳴り響く。
コウガコワレル。
クズレテイク。
――アチラガワニ。