シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

もう一度、きちんと伝えれば。

もう一度、誠意を見せれば。


そう思うのに、次々と湧き上がる不安。


ホントウニツタワル?

ネガイハカナウ?


――約束、して欲しいんだ。


僕が、焦りすぎているのはどんな理由?

僕に、余裕がないのはどんな理由?



「――…た?」



通じ合いたい。

想い合いたい。


出口のない想いは嫌だ。



「どうした、玲? 食え?」


気づけば、紫茉ちゃんの黒い瞳が僕を覗き込んでいて。


僕の手に、豚汁が入っているらしいお椀を握らせられた。



「――!!!?」


僕は、それを見て…思わず仰け反った。



「身体が温まるように、特別に麹入りの豚汁にしたんだ。奮発して沢山肉も入れたし…ほら、その…ご飯粒みたいな白いブツブツが麹だ。

これは間違っても蟲じゃないからな。

…どうした? たんと食え?」



彼女の厚意はありがたいんだけれど。

幻覚であれ夢であれ…


あれを見た後で、白いブツブツと肉は…。


しかも…何…この凄い量…。



< 767 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop