シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
顔を歪めさせたのは、僕だけではないらしい。
櫂も煌も桜も由香ちゃんも…神妙な顔で、手にあるお椀の中身を覗きこんでいた。
いい匂いはするけれど…視覚的に…敬遠したい。
僕達は恐らく全員、同じ気持ちだ。
「ああ、麹が足りないか? ほら。麹をてんこ盛りにしてやるぞ」
無言の僕達に、問答無用で盛り上がる白い麹。
彼女の笑顔が…悪魔のようだ。
ああ…
動いてないよな、この白い粒。
「ふふふふふ」
ただ1人――。
「おいしいね、紫茉ちゃん凄くおいしい」
芹霞は…無敵だ。
どうして山のように積まれた白いアレを、躊躇わずに口の中に放り込められるのだろう。
「おいしいね、紫茉ちゃんの愛情が沢山だね」
きらきら、きらきら。
もう見るだけで、幸せそうなオーラに包まれている。
ああ、芹霞。
君は基本、他人からの"愛"に敏感なはずなのに、どうして僕の"愛"には"超"鈍感なんだろうね?
こんなにこんなに、愛情に溢れているのにね。
僕の愛情込めた料理を食べた時にも、そこまで"きらきら"じゃなかったよね。
きらきら、きらきら。
ああ、ホント。
泣き崩れたいよ、僕。