シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「使い魔……?」
櫂が、訝るような声を出した。
「ああ、式神みたいなものだ。オリジナル…"エディター"は別にいる」
僕は思わず、身を乗り出した。
「何故あの女が"エディター(創り出す者)"と呼ばれるか。エディターが作り出すものは、"不安"。"あれ"は、その"不安"を溜め込んだ…ただの"使い魔"だ。
使い魔といっても、エディターにそれを創り出すまでの力はない。元々使い魔など、リアルな人型に創り出せるほうが稀有だ。翠もまた、そんな稀有な存在。だから皇城でも位階を貰えている」
あの小々猿は…そこまで凄いモノだったのか。
「"あの女"は、別に創出した主が居る。そして、主の力が強ければ強いほど、使い魔は潜在的能力を増大させ、如何様の姿にも変えられる。自分の姿に似せる者、他人の一部からその姿にて復元させる者、
――…幻鳥の姿に変える者。
五皇ともなれば、使い魔は用途に応じて多種多様に存在する」
"幻鳥"。
――出でよ、金翅鳥(ガルーダ)!!!
「まさか…"彼女"は……!!?」
緋狭さんの!!?
「……。五皇にとって、使い魔を操るなど朝飯前だ。それに頭のキレもあれば、いかに五皇の個々の領域内に逃げ込んでいるとはいえ、お前達相手なら…内部からの切り崩しくらい簡単だ」
"彼女"は爆弾で…僕達は自らそれを招き入れたというのか?
それを見越していたというのなら、"彼女"が偶然現われたのは、やはり必然だったと言うことで。
「俺だって全能じゃない。俺が駆け付けなかったら、まずお前達は今頃全滅だ。三尸の瘴気にやられてな」
どうして…朱貴は異常に気がついた?
そして…五皇がかけた罠を、どうして弾くことが出来た?
「貴方は――何者だ?」
僕は…そう聞かざるを得なかった。