シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
そんな時。
「!!!!」
不穏な気配を感じて。
敵がいる!!!
緋狭さん程ではないけれど、それなりの強者だ。
ああ、とうとう。
これからは逃げ惑い続ける――
そんな事態が訪れたというのか。
だとしたら尚更のこと。
朱貴が僕を見た。
「だから、10分だ。
10分…紫茉と紫堂櫂の身体を守り切れ。
潜っている間に、その身体に何かがあれば…夢の領域で、2人は漂流する。永遠にこちら側に戻ることはない。それだけ危険なことだ」
どんな危険なことでも、チャンスは最大限活用しないといけない。
僕は――…
上岐妙が嫌いだ。
関わり合いたくない。
異常な程、近付きたくない。
だけど僕は。
僕にとって櫂は。
「紫茉ちゃんと潜るのは、櫂ではなく…僕でもいいだろうか」
僕は、握った拳に力を込めた。
――あはははは~
「玲?」
「ああ、別にいいが…」
僕はにっこりと微笑み、櫂に言った。
「僕なら…夢の領域で上手く"彼女"を安心させられるかもしれない。
櫂。僕の身体を守ってくれよ?」