シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
櫂の顔が険阻の表情を浮かべた。
「いや、玲。お前は駄目だ。俺が…」
櫂は、僕が彼女が嫌っているのを見抜いているから。
櫂の反抗を、僕は拒絶した。
「櫂。時間がないんだ。
10分で、しかも本人の肉体通さず、遠い処からそんな最短で、核心の部分に行き着き、用がさっさと終わるのなら。
僕にとってこんなにイイコトないじゃないか。
――僕が行く」
僕の意志は変わらない。
此処は…僕に用意された舞台だと思うから。
「……玲くん…」
僕は…芹霞に微笑んだ。
先刻から、不安でたまらないという表情を向けている芹霞に。
「大丈夫だよ、芹霞。
何も…何も心配することないから…、櫂に守って貰って?」
悔しいね。
僕は…君を守りたいけれど。
だけど――
「僕は、帰ってくるよ。僕を信じて?」
櫂を守れるのは僕しかいない。
――約束、して欲しいんだ。
櫂に切り札を使わせない為に。
「……!!!」
ああ、敵意が。
気配が複数になる。
早く、始めないと。
「ねえ、1つ頼んでいい?
櫂と…
煌を…煌を呼び寄せて?」
僕は芹霞に言った。