シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

何で…見張りがいなかった?


あの銀色氷皇は…何で俺を残した?


もしかして。


俺の役目は終わったのだと。


だから見張りの意味がないと…考えていたとしたら?


つまり――


俺が死んでいるから、もう用済みだと…そう判断していたら?


俺は確かに生きている。


だけど、捕まったあの時の記憶がまるで抜け落ちていて。


俺は生きている。


それなのに不安だけが増大して。


死んでいたとしたら?


ありえねえ"もしも"話を考えた。


もしも俺が死んでいたら。


俺は芹霞を手に入れられないのか?


ああ…混乱している最中でも、

櫂や玲を守らなきゃと思う中でも、


やはり芹霞を想うなんて。



想いすぎたのか。


願いすぎたのか。




「願い求めよ。

さすれば我は汝等に与えん。


さあ……求めよ。

汝の願いは如何に?」



その声を最後に、俺の記憶はなくて。



俺は――


求めたんだ。

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