シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


ふらついた俺を桜が抱き留めた。



「何で、消えないんだ!!!?

朱貴は…てめえに術を施したんだぞ!!?」


そんなのは判らねえけれど…


「もう…治る見込みがねえってことじゃね?」


そう空笑いしたら、桜が黙り込んでしまった。


重すぎた…らしい。


非情の『漆黒の鬼雷』の表情崩すなんて、ようやく俺は桜を超えたとか馬鹿みたいに思ってしまったけれど。


その時、


「葉山~ッッ!!!」


小猿が飛んで来て。



「!!!!」


急速度で急ブレーキを踏んだような勢いで、前のめりになってすっ転んでいた。



「葉山と…ワンコが、出来ていたなんて…」



俺…胸のむかむか止まらなくて。

込み上げるものは白い"あれ"だし。



そんな中――

突っ込む余裕、ねえんだわ、悪いけれど。


桜は心底うんざりした顔をしていた。

元々人付き合いがよくねえ桜は、あえて否定もせず完全無視を決め込んだみたいだった。


多分そのせいで、小猿は…イロイロ考え込んでいる。


俺…なんでそんな詰るような涙目、向けられねえといけないんだろ。


泣きたいのはこっちなんだよ。
< 786 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop