シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
ふらついた俺を桜が抱き留めた。
「何で、消えないんだ!!!?
朱貴は…てめえに術を施したんだぞ!!?」
そんなのは判らねえけれど…
「もう…治る見込みがねえってことじゃね?」
そう空笑いしたら、桜が黙り込んでしまった。
重すぎた…らしい。
非情の『漆黒の鬼雷』の表情崩すなんて、ようやく俺は桜を超えたとか馬鹿みたいに思ってしまったけれど。
その時、
「葉山~ッッ!!!」
小猿が飛んで来て。
「!!!!」
急速度で急ブレーキを踏んだような勢いで、前のめりになってすっ転んでいた。
「葉山と…ワンコが、出来ていたなんて…」
俺…胸のむかむか止まらなくて。
込み上げるものは白い"あれ"だし。
そんな中――
突っ込む余裕、ねえんだわ、悪いけれど。
桜は心底うんざりした顔をしていた。
元々人付き合いがよくねえ桜は、あえて否定もせず完全無視を決め込んだみたいだった。
多分そのせいで、小猿は…イロイロ考え込んでいる。
俺…なんでそんな詰るような涙目、向けられねえといけないんだろ。
泣きたいのはこっちなんだよ。