シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
――――――――――――――――――――――――――――……

情けねえ!!!

本当に自分が不甲斐ない!!!


『次は~渋谷~、渋谷~』



山手線のアナウンスが流れれば、さらに一段と深く俺の頭は垂れる。


「もっと楽しい顔してよ~、辛気臭い~」


逆に芹霞は満面の笑みで、繋いだままの手を目の前でぶんぶんと大きく前後に振った。



所詮――


こいつにとって、俺との"恋人繋ぎ"なんてそんな程度。


園児の遠足のようなもの。



玲。


お前、何慣らせてやがんだよ!!!


俺勇気出したのに!!


ああホント、どいつもこいつも!!!


「ちょろいな~、煌は!!!」


もう――

何とでも言ってくれ。


「少しだからな!!! 本当に少しだけだぞ!!?」


勝ち誇った"どや顔"芹霞に、俺は涙目で睨みつける。


だけど電車内でも、繋いだ手は離さない。



櫂の家に帰ったらきっと――

俺はボコボコにされるのだろう。


最近緋狭姉との鍛錬のおかげか、キレるのを抑えるようになった桜でさえ、氷皇へのストレスは相当なはずだから…ああ、過去最大の爆発となって俺に襲い掛かってくるだろう。


その情景をありありと思い浮かべることが出来るのが、悲しいけれど。


大丈夫かな、俺。

生きていられるよな、俺。


< 79 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop