シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「身分不相応で、不釣り合いで、報われるはずないって馬鹿にし来たのかよ!!?」


「…やめろ」


「葉山が見ているのは違う男で、お前なんて勝ち目がないって…」


「やめろ、小猿!!!」


俺は小猿を壁に叩き付けた。


「お前1人…不幸に浸るな。

俺だって…俺だってもがいてるんだッッ!!!」


芹霞。


芹霞。


俺の周りは、いい男ばかり揃いに揃って。


だけど俺だけは凡以下で。


おまけに、この先…どうなるか判らねえ身。


芹霞に牙を剥くかもしれねえ。


"あの女"みてえに、芹霞を滅ぼそうとするかも知れねえ。


どの面で、芹霞が欲しいなんて言える?


だけど…諦めきれない心は。


今在る、俺だけの…"生"の証。

もがき続けるのが、俺の"生"。


「好きで好きで好きなら!!!


行くしかねえだろうが!!!

例え相手にどんなに拒まれても、嫌がられても。

俺には駆け引きなんて出来ねえ。


だけど…見守ることも出来ねえ!!!


あの時、ああすればよかったと後悔したくねえから、行くしかねえだろ!!?」


言っていて…俺の心も芹霞への想いの決意となる。


芹霞の心が向くのを待つつもりだったけれど。


だけど…その前に俺が滅んでしまうのなら。


悪いけど、芹霞。


俺は、想いの全てをぶつける。


お前からの心は…貰えねえ身の上になったのなら。


だから、ただ受け止めて欲しい。


俺の身体が朽ち果て、想いだけが残ってしまう前に。



「――ワンコ。

お前がいるのに…葉山、そんなにモテてるのか!!!?」


小猿が…震える声を出した。

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