シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「確かに、"櫂様"だの"玲様"だの…紫堂達が、ライバルか!!?」
「……は?」
「お前…大変なんだな。そうか、そんなに辛いのか。俺と同じだな」
小猿は…ぽんぽんと俺の肩を叩いた。
「恋愛って難しいな…」
同情?
「……そうだよな、後悔…したくないなら。当って砕けろか…」
悪い、桜。
「ワンコ。俺…当ってみる。誰を選ぶのかは葉山次第だ。恨みっこなしで行こうぜ? 俺…前に進まなきゃ」
火、つけちまったらしい。
やばい、やばい。
話、そらさないと。
「も、戻るか…」
さして話題も見つからない俺は、引き攣った笑いを浮かべて小猿を急かす。
まあ…後は桜に任せよう。
「そういえば、朝方…芹霞に電話くれたろ? 七瀬の友達の後輩…無事に戻ったはずだから」
それすら、七瀬に伝えていなかったけれど。
「ああ、それならもう紫茉は判っている。"視た"からな」
「見た? 聞いたじゃなく?」
「ああ、聞いたのは朝方。友達に電話かけて確かめたらしいぞ。友達も吃驚しながら、後輩と連絡とったらしい」
「待て。順番…おかしくねえか? どうして七瀬が一番早く気づけた?」
「あ? 紫茉が夢で"視た"からさ」
「……夢?」