シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
俺は庇うように芹霞を片腕に抱いて、その攻撃から身をかわす。
「煌と…黄幡会に行く時も、車から攻撃されたの!!!」
芹霞が俺にしがみつく。
確か…桜もそんなことを言っていたはずで。
俺に向かう幾つもの青光。
玲のような力の気配を感じる不可思議なそれは、掠める部分を溶かしていく。
「電子…基盤…」
見間違いではない。
青光の影には…基盤の影がある。
俺は再び風を纏い、青光を迎い受けた。
かなり強く重い青の光に、俺の力が震動する。
この手応え感は…渋谷で見えぬ蝶を相手にした時、保健室で蛆を切り裂いた時のようで…そう、達成感がえられなく。
逆に利用されているようにも感じ、俺は躊躇なく…闇の力に切り換えた。
ポケットの中にある血染め石が、歓喜の震えを放っている。
ここの瘴気が闇属性ならば、俺の力の糧となるから。
漆黒の…炎のように揺らめく力を、一気に波動状に放射した。
目映い青と暗い黒が鬩ぎ合い、目が眩むような閃光が舞い踊る。
片腕はしっかり芹霞の肩を抱き、俺はそして闇の力を拡大させる。
青光は次第に強さを無くし…黒い色へと染まり行く。
「――はっ!!!」
気合いと共に、更に力を強めた時。
パリーーン。
パリーーン。
パリーーン。
次々に万年筆が破壊され…青い光は突如消えた。
「か、櫂が…強くて…良かった。な、何だろあれ…お化け? 幽霊? もう何だろうね、あは、あはははは」
芹霞が引き攣って笑っている。
「俺が傍に居てよかった、だろ?」
どうして俺は。
「はいはい、櫂様。その通りです」
こんな会話をしているのか。
玲が煽った時、耐えねばならないと必死に自分を押し殺したというのに。
その反動のように…何でこんな、馬鹿みたいに明るく。
俺の心が…まだ納得いっていないのか。
頭では納得していても…心はまだ、駄目なのか。