シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
同時に芹霞を抱いたまま姿勢を低くし、頭上を掠める拳を確認しながら、その脛を斜めから蹴り落とす。


がくんと姿勢が崩れた男の延髄に、回し蹴りを食らわせて沈める。


4人目。


「か、櫂…この人達…」


「ああ、警護団だ」


「……こんなに弱いの?」


「いや…強いはずなんだけれどな」


多分…本気の手出しが出来ないのだろう。


殺気というよりは、迷いがある。


闘いに迷いは禁物だと…十分判っているはずで。


そんな教えられ方はしていないはずなのに。



こつ…。



そんな中、その足音は響いた。



こつ、こつ…。



慌てた様子もない、泰然自若とした足音は。




「あ、蒼生ちゃん!!!?」




遠目で確認出来るのは氷皇の姿形。


だけど、おかしい。



色が――違う。


銀色。


氷皇の姿形が、青色ではなく…銀色で象られている。
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