シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「煌が…言ってた、蒼生ちゃんそっくりの奴!!!?」
瓜二つ…そんな単語では生易しい。
笑わない…酷薄な氷皇の顔つき。
確かな力は感じるのに…気配がない。
そして――
「制裁者(アリス)の服だ!!!」
全貌が露わになると、芹霞が俺の首筋にきゅっと手を回した。
判る。
判るんだ。
この男…
凄い強さだ。
俺は芹霞を抱く腕に力を込める。
男は、一定距離で足をとめ、冷ややかな…銀の双眸で俺を見つめた。
そこからは一切の感情が見られなく。
俺の中で、警鐘が鳴り響く。
自ずと身に纏う闇の力。
対抗出来るのは、俺が極力押さえ込んでいた…この力に頼るしかない。
だが――
芹霞抱えて、この男と対戦するには…分が悪すぎる。
どうする?
逃げるか?
保健室に逃げ込むか?
そんな時。
「何、何の音!!!?」
何かが爆発するような音が聞こえて。
その方角は…
「保健室に…誰を放った!!!?」
俺は、目の前の男に聞く。
男は、薄い唇を…ゆっくりと持ち上げた。
まるで悪魔のように、美しい顔で。
「――…紅皇…」
俺は舌打ちした。