シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

今、保健室は、無防備な姿を晒す玲がいる。


そんな中、よりよにって緋狭さんが攻撃をしているとは。


幾ら朱貴言えども、完全には防ぎきれない。


緋狭さんは…最強の五皇なのだから!!



「くっそッッッ――!!!!」



どうすればいい!!?


この窮地をどう切り抜ける!!?


保健室に駆け付けるか!!?


だけど――


俺の本能は判っている。


この男から逃れられないことを。


そう簡単に、この男を倒せられないことを。



「……絶望、してるのか?」


「!!!?」


一瞬の間に、間合いを詰められて。


音もなく、気配もなく。


そう…耳元で囁かれて。


「櫂……」


玲、玲!!!


――そんな顔するなよ、櫂。



「……もう、逝くか?」



――大丈夫。いつだって僕は…切り抜けてきただろう?お前と共に…。



しがみついてくる芹霞。



――だから頼む。芹霞のこと。



俺は…負けるわけにはいかない。



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